映画やドラマで「主人公」という言葉を聞いて知ってはいましたが、
今朝、「禅語入門」(久須本文雄著)という本を読んでいて、
これが「禅」から出た言葉だと始めて知りました。
師彦(しげん)という和尚の逸話だそうですが、
師彦は、毎日岩の上で座禅して、
大声で「主人公」と呼び、自分で返事をしていたそうです。
「目をさましているか?」、「はい!」
「人に騙されるなよ!」、「はい!」
そう自問自答して、それを日課のように繰り返していたとのこと。
「主人公」とは「自己の主」であり、
「真実の自己」「本来の自己」のことなのだそうです。
自問自答した経験のある方は多いかと思いますが、
やはり、我々人間には、二人の自己が存在しているようで、
その一人が「感性的自己」、
そして、もう一人が「霊性的自己」なのだそうです。
感性的自己は、
喜怒哀楽の感情と、個人的・社会的欲望を抱いている日常的な自己。
霊性的自己は、
日常的な自己の奥にいる純粋で本質的な自己。「主人公」です。
またなんと!霊性的な自己によって、
日常的な自己が価値づけられ、意義づけられているのだそうですよ!
…ずいぶん「主人公」をないがしろにしているなぁ、私。
雑多なことに時間を追われ、さまざまな感情や欲望で
大切な「主人公」を覆ってしまっている。
確かに、たまにゆっくりできる時間があると、
私、こんなに穏やかな人間だったのかぁ~
と、自分に驚くことさえあります。
雑多なことに振り回されない自分でありたい。
思わずそう思ってしまいました。が、しかし。
これも欲望ですね。
振り回されても、「たまには振り回されることもあるさ♪」と
振り回された自分を責めない。
そうやって、感性的自己を開放することによって
覆われていた霊性的自己「主人公」が表れるのかもしれません。
自分の中に「主人公」がいることを忘れないように、
時々は私も「主人公」に話しかけてみたいと思います。
もちろん、心の中で。(笑)
高天麗舟