『書と占い』

さいたまで活動している書家・占い師が日々の気づきをあれこれ書いています。

スタジオクーカ見学記2

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そのギャラリーは、
原宿、同潤会アパートというオシャレな場所でした。

突然ですがみなさん、日頃ギャラリーなんて行きますか?
私は手相トークショーの会場がギャラリーだったおかげで
ビミョ~に敷居が下がったのですが、それでもやっぱり緊張します。

そんなギャラリーでの展示を試みたところ、
案の定、美術ツウのお客様が多数いらっしゃったそうで、
「カッコイイ」という評価をいただけたそうです。

前回のブログで、

 デザインチームに配属された障がい者の方々は、
 作業というものを叩き込まれてきたため、
 こんな自由でいいの?と最初戸惑った。

と書きましたが、
その気持ちは、実は、彼らの親の方が強かったようです。
設立当初は、作業として絵を描くことに、
親御さんたちは、かなりの違和感を感じていたのだそうです。

ところが、こうして評価を受けたことによって、
親の意識が変わり始めたのです。
…う~ん、「自分の見る目を信じる気持ち」やっぱり大事です。

話、戻します。
そしてそこからデザイナーさんやら色んなご縁が広がっていき、
代官山にある「ハリウッドランチマーケット」や「オクラ」という
若い子ちゃんに大人気のショップに
商品として置いていただけるようになったそうです。

となると、「anan」「non-no」「olive」など、
私も昔読んでいたような雑誌にも取り上げられるようになって
「デザインチーム」に配属されたみなさんは、
チヤホヤとされるようになり(笑)

一方の「ボールペンチーム」のみなさんからは、
「何であっちは遊んでいて許されるんだよ!」という当然の感情が。

そして徐々に「デザインチーム」に移籍する人が増え、
「ボールペンチーム」は消滅しました。(笑)


上の写真は見学に行った際、購入したものです。

パソコンの前に飾ってある絵とペンケース。
かなり私好み♪(笑)

 

この施設は、指定生活介護・就労継続B型事業所 という形態で
こんな風にデザインを商品化したり、原画を売ったりしていますが、
「自立」というのには、ほど遠い金額です。


一般的な芸術家も、
芸術一本で食べている人は、ほんの一部のようですから
仕方ないことなのかもしれません。

それにしてもしかし。私は今まで、「自立」にこだわって、
さまざまな施設を見学してきたつもりなのですが、
この スタジオクーカ を見学して、私の中の何かが変わりました。

税金のお世話になって生きる人間がいても、いいじゃないか♪


という思いです。


私はここで描かれた絵が大好きで、
ここで作業する方々の自由さに心打たれました。

芸術というのは、こういった剥き出しの感情がないと
なかなか表現できないものなのかもしれない、と思わされたのです。


また、そう思うキッカケとなったのが、
この施設で一番多く作品を描いていたという20代女性の話。


彼女は、話す言葉はほぼ単語のみで、会話ができませんでした。
ところがなんと、ある時から会話ができるようになったのだそうです。


20歳超えて、そんなミラクルがあるのか!と、
現在障がい児育児中の私は、大変勇気づけられました。


が、しかし。
それと同時に彼女は一切絵を描かなくなったのだそうです。


それまでの彼女にとって、絵は表現の一つだったんですね。
「言葉」という便利な手段を獲得し、「絵」が不要になったのでしょう。


もし、絵を描くことが仕事だったとしたら、
彼女は企業にとってもう不要な人間になっていたかもしれません。


そう考えると、法やら制度に守られながら、彼らがゆっくり生きて、
ゆっくり訓練できる場所があってもいいのではないかな…
と、思うようになりました。


こんなにハッピーな気持ちにさせてくれる絵を描いてくれる彼らは、
決して社会のお荷物なんかではない!


そんな風に思いました。

 

実はここから更に、面白い展開へと続いていきます。(笑)
が、それはまたの機会に。