『書と占い』

書家・占い師 の視点でみえた日常のあれこれ

自分を買い被らない

先日、今年の展覧会作品がようやく仕上がりました。
今回も用意しておいた100枚すべてを書き切りまして
いつもならその中から良く書けたものを師が選定してくださっていたのですが
今年はそういうわけにはいかないので
「コレが一番いいかなぁ…」というものを自分で選びました。

師を失った今、半紙の練習と違って作品となると
方向性や着地点を自分で見つけて進まなければならないので
難易度が一気に上がります。

思わず「書けない」という言葉が出そうになりますが、これは傲慢ですね。
そもそも「書ける」と思っていること自体が間違いでした。

書は、確かな境地・確かな目・確かな腕 が揃わない限り、
一生満足いくものなど書けません。

そんな残念な自分を受け入れながら、練習を繰り返し、
「書けない」なりに「書く」んです。

手の形、握力、腕の可動域、目、これまでの人生で培ってきたもの…
すべて同じ人がいないので、自己ベストを叩き出すしかないんです。
だから、人と比べて自分を卑下する必要はなく、
与えられた条件の中でどれだけ自分のベストに向かって努力したか?が
その人にとっての貴い財産、そして進歩となるわけです。

何か人から依頼された時、
「できない」「無理」と断ってしまう人、少なくないように感じます。
書でもなんでも、人と比べたら自分の不甲斐なさに目が向くだけです。
出来なくて当たり前の心づもりでヘンに自分を買い被らず、
これが自分なんだと開き直り
その中で出来ることをやっていくことが大切と思います。
そこで得た経験は一生の宝になるでしょう。

 

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高天麗舟