易講座準備のため、今月に入って易経ばかり読んでいます。
先日、易で鑑定したあるお客様にこう言われました。
「だいぶ言葉を選んで優しく伝えてくれていると思うんですけど
易の言葉って、おじいちゃんに叱られているみたいですね。」
そうなんです。
易には「占筮(占い)」と「義理(筋道・道理)」という二つの顔があり、
不思議な道具を使って八卦を得る儀式はアヤシイですが
結果的に、その人のその状況に応じた道理を教わることになるんです。
この、一見真逆のような怪しさと理性や道理が繋がるところ、
そして紀元前から今尚続く深い教えに、人々は魅了されてきたのだろうと思います。
そんなわけで、一章読んでは膝をポンと叩いて唸る日々です。
「楽天知命、故不憂」(繋辞上伝)
天を楽しみ命を知る。故に憂えず。
易は天の法則を楽しみ、己の運命を知ることを教える。
自分の努力でどうにもならないことは使命と悟り、安心して受け入れる。
それが同時に天を楽しむということだ。
だから目の前のことに一喜一憂することはない。
若いころだったら理解できない言葉だったかもしれません。
調子いい時だけ急に明るくなったり、強気になったり、打算で動いたり…ではなく
今は好調な時と引いて状況を捉え、好調が長く続くよう冷静に謙虚に過ごす。
不運な時であっても、努力していればやがて抜けるものなんだからと喜んで受容する。
こういう心構えができた時、人に憂いはなくなるのでしょう。
楽天家というと確かに憂いとは無縁そうな人を思い浮かべますが、
本来は、どんな時でも平らかな心持ちで過ごせる人を指すのかもしれません。
残念ながら私もつまらないことでつい動揺してしまいます。
真の楽天家になるってなかなか難しいことですね。
高天麗舟