『書と占い』

さいたまで活動している書家・占い師が日々の気づきをあれこれ書いています。

まずは当たり前にできることから

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泰永書展、おかげさまで無事終えることができました。
会場に足を運んでくださった皆様、ネットから応援してくださった皆様、
本当にありがとうございました!

今年、私は3点出展しました。(写真ボヤけててすみません)

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木簡隷書/白居易【早春獨遊曲江】

 

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行書/楽天知命故不憂

 

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草書/利渉大川

 

草書の作品は、
今年10月にモスクワで行われた日露交流書画展のために書いた
もうひとつの作品なので、すでに出来上がっていたのですが
木簡隷書・行書作品は、今年書き上げました。
それぞれ200枚ずつ書き、その中で一番良いものを選びました。

本当に上手ければ一枚で完成となるのでしょうが
どうしてそんなに枚数を書かなければならなかったかというと
当たり前のように一字一字上手く書けるまでに時間がかかったからです。

特に木簡隷書は勢いが大切で、親の敵を討つ勢いで筆を払います。
なので基本ができていないと
勢いに負けて筆がブレて、単純に汚い字になってしまったり、
まったく均整のとれない不安定な仕上がりになったり、
隣の字とぶつかってボツ作品になってしまったりするんです。

のところ、寸止めになってます。

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だからといって、均整を意識すると
緊張から自由さのないこぢんまりとしたものになり、
表現の音数がなくなってしまうんです。

具体的にいうと下図「無」の場合。
横画や点、すべて形が違います。
これを異なる形になるよう計算して書くと、作品から勢いが失われ、
勢いに任せて書くと、ただまとまりのない作品になるんです。

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まず、当たり前のように基本の型をキチンと書けるようになること。
そこまでいって、ようやくスタートラインに立てるわけです。

大変ですけど、奇を衒った作品を書くようなことはしたくないので
土台をしっかり固めて、
そこから結果的に見応えあるものが書ければいいなと。

そんなことをしみじみ感じていた今回の創作活動でした。

会場の池袋芸術劇場へ向かう電車の中で
「日本人なら知っておきたい禅」という本を読んでいたのですが
次の言葉が載っていてハッとしました。

【当たり前のことが当たり前のようにできること、これが禅である】

 

…修行ですね。

来年もがんばります。

 

高天麗舟