易経には名言が多く「聖人とは…」など
人の上に立つ者とはどういう人なのかについて触れられています。
「聖人」は過去の偉人を指すのですが
他に「大人」「君子」「小人」と呼ばれる人も登場します。
大人タイジンは天下をおさめる人、君子は徳の高いリーダー。
小人ショウジンは、徳のない卑しい人。(本によっては「ケチな野郎」とも)
これを読むと「小人だけは避けたい~!」と思いますが、
一国の超トップ、優れた人格の高官に対しての小人なので、大衆を指しています。
ということで残念ながら我々は小人なのですが、
易経の中に「小人あるある」というか
「こんな小人イヤだ~」という鉄拳のネタのような名言があるので紹介します。
子曰。小人不恥不仁。不畏不義。不見利不勸。不威不懲。
孔子は言った。
小人は不仁を恥とも思わず、不義を働くこともおそれず、
利益が見えないと動こうともせず、おどされないと懲りない。
善不積。不足以成名。惡不積。不足以滅身。
小人以小善爲无益而弗爲也。以小惡爲无傷而弗去也。
善行もたくさん積まなければ名をあげられないし、
悪行もたくさん積まなければ身を滅ぼすには至らない。
ところが小人は
ちょっと善い行いをしたところで利益にはならないからとやらないし、
ちょっとの悪事なら大したことにならないと考えて止めない。
小人、なかなかえげつないですね。
君子とは、自分の利を考えずに人を支えることで徳を積み、
結果的に人から担がれる人なのでしょう。
私利私欲を抑えることは難しいですが、
せめて心掛けだけは忘れないようにしたいものです。
六朝楷書で書きました。
高天麗舟